夢幻の痕跡







学校の屋上
空を見上げる一人の少年, 少年の名は笠置八満

「…らしくないじゃないか。」
振りかえると, そこに見慣れぬ少年の姿

「誰だお前?」
「……君もか」

少しむかついた口調で言葉を紡ぐ少年
その声はよくよく聞きなれた声だ

「…お前, もしかして清丸か?」
その頭に本来あるべきものが無い

「メンテナンスに出しててね。
…本来なら学校に来る気は無かったんだけど
皆がどういう反応を見せてくれるのかが楽しみでね。」

階下を覗くと2-D教室から煙が上がっている。


「相棒がなくともあのくらい容易い事さ
…まあ君は比較的早く気が付いたからね何もしないよ」

改めて, 目の前に居る人間の怖さを再確認する。

「…で, 何か用かよ」
「あれ以来ずっと空を見上げてるって聞いてね」

「…別に。」
そういうと, また空を見上げる。










大陸・ヴァイスの一件が終わって後
学校に一時非難してた連中も、大陸に戻っていった。
シアンも, シアンもまた, 元居た場所に戻っていった。
「きっと必ず帰ってくるから」 そう言い残して。








再び学校屋上

「それにしても, 一気に静かになってしまったね 」
「…騒がしいの皆帰っちまったからな」

ポン太もシアンとヴァイスとともに大陸に…
Jrや船長達も空に、大陸も遥か彼方に姿を消した。

「こうしてみるとまるで夢かなにかを見ていた気分になるね」


その言葉に清丸の胸倉を掴む。
「…違う!夢なんかじゃない!!!あいつ等は、あいつは!」

次の瞬間薬品を嗅がされ倒れる。



「てめえ…」
「落ち着き給えよ。物の例えで言ったんだ。」
「…分かってるよ, そんな事」

仰向けに倒れ
そこに見えるのは澄みきった青空。その空は果てしなく高い。
思わず溜息をつく。




「…そんなに思ってるなら, 何で引きとめなかったんだい?」

なにか言おうと起きあがろうとするが起きあがれずそのまま、

「………あいつは, 『帰って来る』 そう言ったんだ 」
「なるほどね 」
「…」
「僕はもう行くが, 君はどうする?」
「どうするもこうするもさっきので動けねえよ」

「それもそうか」

そう言って屋上から姿を消す。

「…薄情なやつ。」










午後の授業はそのままさぼる事にして、空を眺め続ける。

「…ったく何してんだか。」

誰に言うでもなく呟く。
「早く, 帰ってこいよ…寂しいじゃねえか」



次の瞬間。空を二つの物体が交差する。

「…ポン太にヴァイス!?」
「みぃ♪/みぅ♪ 」

嬉しそうに八満のまわりを飛びまわる。

「…って事は, シアン!居るのか!?」
思わず叫ぶ。



「八満…」

声の方向に振り返る
そこにはずっと待ち望んでいた人の姿。





「ありがとう、ずっと待っててくれて。」

その言葉に思わず顔を赤くする。


「さっき清丸君にあって, …聞いちゃった。」
「…あいつ何を、いやそれより何時帰って」
「お昼頃, 家に行ったんだけど, 誰も居なくて…
 学校に来て八満の話を聞いてから、ここでずっと見てた。」


ますます赤くなる顔を隠しながら後ろを向く
そして少し間を置いて言いたかった言葉を紡ぐ。





「…お帰り、会いたかった」

その言葉にシアンは極上の笑顔で言葉を返す。









「ただいま。 これからまた よろしくね」









Fin









後書き

PON!とキマイラ「八満×シアンSS」

探し続けましたが、あまりにも少ない。
だもんで自分で書いてみましたが
自分で書いても感動が無い…(;¬_¬)

今回のSS皆さんにはどう映ったでしょうか?

2005.05.03